091<見えるように>

単眼の巨人アトラス、アリアハンに到着。しかし彼には問題があった。
体が大きく、並の大きさの建物には入れないのだ。
「な……なあ、爪楊枝。代わりに調べでくれ。」
『そんなことができるか!』
天空の剣はもう爪楊枝と呼ばれることにも慣れたらしい。
「えっと、じゃあわたしが調べて来ます。ずっと乗せてもらいましたし…」
またも誰かの声がする。そして、袋がひとりでに浮いて移動し始めた。
『ゆ、幽霊も参加していたのか…?』
「し……喋る袋…」
それぞれの反応は別のものだった。
「どちらも違います!ただみんなから見えなくなっているだけなんです。でも、いつか見えるようになるんです。」
『そうか、いや、失礼した。』
「俺は袋見えるぞ。」
アトラスは見当違いの解釈をしているらしい。
『…』
「え…えっと、とにかくこの町の中を探して来ますから、そこで待っていて下さいね。」
そう言い残してあやかは勇者の家に入っていった。
「分かった。俺、袋を待つ!」
単純なアトラスは何も疑うことなくアリアハンの西門の前に座って待ち始めた。
まるでメルキドの守護神、ゴーレムのように。

【アトラス 現在位置:アリアハン西門前 所持品:天空の剣 行動方針:待つ 願い:?】
【あやか 現在位置:勇者アルスの自宅 所持品:? 行動方針:キーアイテム探し 願い:姿が見えるようになる】
※アトラスが西門を塞ぎました。





092<無事に帰りたいよ>

僕は今、今まで生きてきた人生の中で一番必死になっているかもしれない。
モニカと結婚するため、戦争を止めるため手紙を書いたときも必死だったけど。
とにかく今は走る。走る走る走る。
え?何故走るかって?そりゃ無事に帰りたいからさ。
実は僕、先程うっかり樹から落ちてしまいました。情けないことに。
そしたらあの…何だっけ、イブールとかいう奴が邪魔するなとか言って襲い掛かってきた。
もちろん、悲鳴を上げて逃げたさ。そしたら、奴は追い掛けて来た。構わないでくれよ…。
ああ、何でこんな危険なレースに参加してしまったんだろう。僕はこの上なく幸せで望みなんて無いのに。
もっとも、今の状況は…不幸せだけどね。心の中が冷静なのは一種の諦めなのか?ああ、ほら追いつかれる。
モニカ…僕は君の所へ無事に帰りたいよ…。

「ぎゃあっ!」
頭に物凄い衝撃が走り、浮遊感の中でリックの意識は暗転した。


「くくく…邪魔が入ったな、さあ続きだ」
リック王子はあっさりと追いついたイブールに頭を殴られ、10m程吹っ飛ばされた。そのまま砂浜に落下。
一応手加減はしたようだったが。そうでなければリック王子の頭部は既に原型を留めていないだろう。
イブールを追いかけ、背後からそれを見ていたルビカンテは怒りの表情を浮かべる。
「貴様…無抵抗の人間に…」
「ん?まさか、怒っているのか?…ほう、驚きだな」
「…私は正々堂々とした勝負が好きなのだ。お前のようなやり方は好かない」
「ならばさっさとかかって来るがいい…始末してやる!」

【イブール 所持品:? 現在位置:レーベ西の海岸 行動方針:ルビカンテを倒す 願い:ミルドラースの世界征服】
【ルビカンテ 所持品:炎のマント 現在位置:レーベ西の海岸 行動方針:イブールを倒す 願い:?】
【リック王子{気絶・重症。危険状態} 所持品:? 現在位置:レーベ西の海岸 行動方針:気絶 願い:?】





093<赤チョコボ>

どれも見たことがあり食べたこともあるもの
だけど探すとなるとこれまた大変で…
「これ。これを探してくれる?」
「クェッ!」
チョコボの知能は低くはない。
それもメテオも操れる赤チョコボならなおのこと。
どうやら理解したらしい。
木の実はいつもは数十匹ターゲットを狩ってやっと手に入れられるかどうか。
占いもできないから自分の足で稼がないといけない。
その面ではミネアはかなり恵まれていた。
赤チョコボは乗り物としても、武器としても一級品。
流石に空は飛べないが水も怖がらずレースでは強力な武器だ。
チョコボが匂いを嗅いで辺りを見回す。
途中、使い魔と騎士らしき男が道具屋を漁っていた。
こちらを睨み付けたが赤チョコボの姿を見て再び道具屋の捜索を始めた。
だが、赤チョコボは道具屋を見向きもしなかった。
そして、道具屋を過ぎたころ、進路を酒場にとった。
…どうやら、赤チョコボは在り処をかぎつけたようだ。

【ミネア 現在位置:ルイーダの酒場一階→酒場二階 所持品:無し 行動方針:チョコボに種捜索を任せる 願い:姉、マーニャの更正】

【ダイスダーグ 現在位置:アリアハン道具屋 所持品:引き寄せの矢20本、?、銅の剣
 行動方針:道具屋でアイテム調達後、アリアハン外へ 願い:世界の支配】
【ミリア 現在位置:同上 所持品:無し 行動方針:ダイスダーグに従う 願い:?】





094<人の夢>

放送の数時間前。アイリンを眠らせたエニクスは、のんびりとレーベに足を動かしていた。目的はキーアイテム候補を探すこと。
エニクスは最初はあまりレースに乗り気ではなかったのだが、先程少女に襲われたことで考えが変わった。

(レースに参加しながら命を奪おうとする奴等は倒す…まあ、倒すといっても先程のような要領でなら。)
エニクスは根っからの善人だった。自分の欲の為に他人の命を奪う行為が許せなかったのである。
(今はこれといった願い事はないけど、レースに参加してみて運良く1位になれたらそのとき願い事を考えれば良いし。)
そして楽天的だった。

「…おや?」
橋を渡った辺りで、ふいに視界の端に木に身を預け座っている人間の姿が移った。殺気は感じられない。
(…金髪の、女騎士?)
アグリアスだった。

「おーい、こんなところで眠ってるとあぶな」
「眠っていない」


私が目を開けると、目の前の男は心底驚いたというように目を見開いていた。…そんなに熟睡しているように見えたのだろうか?
「あの、怪我でもしたのですか?」
「…悪いが、放っておいてくれないか」
労りの言葉に対し、自然と返事が出てきた。助けを求めることも出来たのに、何故だろう。
他人の手を借りたくなかった。これも騎士としてのプライドというものなのだろうか?

そんなことを考えながらまた目を閉じる。暫くすると男が去っていく気配がした。



突然、天から降ってきた声に目を覚ました。そして一瞬後に驚きでその目を大きく見開く…その理由は三つあった。
自分が何時の間にか本当に眠ってしまっていたこと。
足の痛みが消えていたこと。
そして…目の前に先程の男が座っていたこと。
「お前…」
「しーっ…放送が聞こえないですよ」
口元に人差し指を当て、空を見上げる男。
何なんだ、この男は?何故ここに居る?わざわざ戻ってきたのか?私の足はお前が治したのか?疑問は尽きない。

神と魔王とやらによる『放送』が終わった。私は男に疑問をぶつけてみた。
「だって、あんなに油汗を流してる人をほっとけないですよ」
「…。」
…そんなに痛そうな表情をしていたのか?私は…
「でも、少しは眠れたみたいだし、もう大丈夫ですよね?」
「…あ、ああ。」
その言葉を聞くと男は笑って立ち上がり、お大事に、とだけ言うと去っていった。

「…。」
私が眠っている間、ずっとここにいたというのか、あの男は…。
あいつは、自分の夢を叶えるためにここにいるのではないのか?それなのに。
…それとも、レースに参加する気が無いのか。どちらにしても、お人好しにほどが有る。
「人の夢と書いて、儚いと読む…なのに」
足の痛みはもうないのに、暫く立ち上がることが出来なかった。

【エニクス 現在位置:アリアハン近郊の森の中 所持品:ガムテープ、裁きの杖
 行動方針:PKK(女子供にはあくまでも優しく)・キーアイテム捜索 願い:?】
【アグリアス 現在位置:アリアハン北の橋付近 所持品:ヒラリマント 行動方針:? 願い:?】





095<ギルガメッシュは?>

信仰心の厚いイズルードは空に現れた神々の姿に感動していた。
口では言い表せ得ぬほどの神々しさ、美しさ。禍々しさ、おぞましさ。
おそらくあの中に自分の信仰している神もいるのだろう。
神の姿を見ることができた。自分は何と幸福なのであろうか!

彼がいざないの洞窟にたどり着いたのは放送のすぐ後であった。
いざないの洞窟。想像していたよりも広い。
明らかに人工のものと思われる洞窟は、入り口がかなり大きく、見つけるのにあまり苦労はしなかった。
内部は広い空洞になっており、人間500人は軽く入れるであろう。
かつて、この洞窟はアリアハン軍の前線基地であったのだから当然ではあるが。
見回してみると石像が2体ある。他には特に何もない。何気なくそれに近づいたとき、
何かカタイものを砕いているような音が聞こえた。

カーン カーン カーン カーン

どうやら石像の間の壁の向こうから聞こえてくるようだ。かなり近い。何やら話し声もする。
イズルードはひとまず石像の裏に身を隠した。そして…

       ガギン! ガラガラガラ…

壁が崩れ、二つの小さな影が現れた。




カーン カーン カーン カーン
「はぁ、はぁ、まだつながらないのか」
思った以上に分厚く固い壁。いっこうにつなげられない。スコールの気力は尽きて、座り込んだ。
「おいおい、もうへばったのか?だらしねえなぁ」
後ろから子供の声。カメハ王子であった。
「…何だと?」
「大体もぐらのくせにこんな壁も掘れないのかよ。俺の仲間のキラースコップならこんな壁一瞬で掘れるぜ。
 でもまあできないんじゃしょうがねぇなぁ。俺が手伝ってやるよ。
「ふん、断る。少し休んでいただけだ。この程度の壁、俺だけで十分だ」
スコールはつるはしを思いっきり振りかぶる。

ガギン! ガラガラガラ…

壁がついに崩れた。
「やるじゃん。根性あるよ」
「言ったはずだ。俺だけで十分だと。わざわざ他にたよる必要などない」
「へぇ、リッパなモンだな。でもな、一人でいるとその内足をすくわれるぜ」
「何が言いたいんだ?」
「へん、せっかくこの世界一のモンスターマスター、カメハ様が仲間に加えてやろうって言ってんのに、鈍いヤツだな」
スコールはカメハを見つめる。マスターであるポポロにも似ている感じがした。
それに、一人孤独にいるよりも力が沸いてくるような気もした。何となく惹かれる。だが、言葉では素直には言えない。
「はじめから素直に言え。仲間にしてくれ、とな」
「なにぃ…マスターは俺だぞ。」
「フン、ついてきてもいいが、足手まといにはなるなよ」
とにかく、またここに一つのパーティーが出来上がった。




イズルードは一人と一匹の会話をずっと聞いていた。
未だに互いに悪口を言っているようだが、実際は理解し合っているのだろう。
彼らが持っているのは鶴嘴に松明に壷。奪う必要はないだろう。

ここは今開通したばかり。
つまり、自分が一番乗りなわけだ。
旅の扉の直前で待ち、キーアイテムを奪えば確実にコース一位である。
地下2階は常人には複雑な構造だ。しかし、彼は床の亀裂をジャンプで飛び越え
やすやすと3階にたどり着いた。
3つの扉の一つが壊されている。おそらくあのつるはしの一撃によるものだろう。
その向こうには青い渦が見える。おそらくあれが旅の扉だろう。
奇襲しやすそうなのが、旅の扉を見つけて注意がおろそかになると思われる、扉をくぐる瞬間だと彼は判断する。
ここは洞窟。音も響く。イズルードは扉の裏で待ち伏せることにした。
柱の影で気絶したままのギルガメッシュに気付かぬまま。

【イズルード 現在位置:いざないの洞窟3F、盗賊の鍵の扉の裏 所持品:ストレイトソード 
 行動方針:奇襲してキーアイテムを奪う  願い1:ルカヴィの殲滅 願い2:父を蘇らせる】
【ギルガメッシュ(気絶) 所持品:なし 現在位置:いざないの洞窟最深部  行動方針:? 願い:?】

【カメハ 所持品:閉じこめの壷、たいまつ 現在位置:いざないの洞窟地下一階 
 行動方針:キーアイテムと道具を探す 願い:優勝して100億年分のお菓子をもらう】
【スコール 所持品:黄金の鶴嘴 現在位置:同上 行動方針:カメハに付いていく 願い:?】





096<dでもねえ名前をつけられた奴の失敗>

「種だと!?植物採集をするのか?」
リヴァイアサンに頃された奴は地下道を抜け、今まさにナジミの塔に入ろうとしたときに放送が入った。
岬の洞窟で使えるものがないかと思って見つけたものが
旅人の服と薬草、この世界の者と思われる通貨である。
旅人の服は服としては丈夫な作りだし、薬草は怪我もするだろうし…
通貨は…まあ、使い道はあるだろう。額はまあ、置いといて。


                 OTL


なんか虚しくなってきた。
岬の洞窟の入り口付近にも森が広がっていたが今から戻るのは相当のタイムロスだ。
それだったら一か八か先に進んだほうがいい。
まず、塔方面は外から見る限り木は生えていないからNG。
じゃあ、東か北か。
1ゴールド硬貨をはじいて表か裏かで決める。
…裏。
北だ。北に足を向けた。
願わくば、キーアイテムがあるようなところに出るよう願わずにはいられない。

【リヴァイアサンに頃された奴 所持品:旅人の服、薬草、17ゴールド、盗賊の壷回数(容量)4
 現在位置:ナジミの塔地下1F ナジミの塔方面への移動 行動方針:キーアイテムの捜索 願い:名前を取り戻す】





097<稲妻の剣の特殊効果実演>

アリアハン城下町、宿屋前。2人の少年が地図を覗きこんで雑談していた。
勇者アレフとサマルトリア王子すけさん。勇者ロト(アルス)の血を引くもの達だ。
「…確かキーアイテムは人数分は用意してあるって言ってたな。だとするとどこかに大量に保存してあるんじゃないか?」
「あ、なるほど!アレフ、頭いいね」
「君が何も考えていないだけだよ。とにかく、僕の推測が正しいとすれば街中か、塔や洞窟内だろうな」
「…。えーと、じゃあ道具屋とか城とか、いかにも保存してそうなところを探してみましょうか?」
「そうだな。でも急がないといけないね、早速行こう」

アレフは丁寧に地図を畳み、袋にしまおうとした…その袋をすけさんに取り上げられる。
「ちょっ、何だよ!急ごうって言ってるのにふざけないでくれ!」
「ううん。…アレフの支給品って何なのかな〜と思って、僕は武器持ってないし」
「あ…」
支給品のことなんてすっかり忘れていた、というような間の抜けた声。
すけさんは勇者アレフは意外とうっかり者なのかもしれないな、と思った。まあ、僕も人のこと言えないけど。
そんなことを考えながら袋に手を入れ、取り出す。見覚えのある剣だった。
「稲妻の剣だ…」
この剣は仲間であるもょもとが使っていた。高い攻撃力と特殊能力を持っている。
「稲妻の剣?立派な剣だな」
「うん、特殊効果もあるし、攻撃力も高いよ。僕には重くて上手く扱えないけど」
「特殊効果?」
アレフがオウム返しに尋ねる。すけさんは剣を鞘から抜き、握る。
「えっと、確かこうやって念じながら振ると…」
大きく振りかぶった。その瞬間、強い風が吹く。真空が先程まで世話になった宿屋の看板を引き裂く。
「…。」
「…。」
ついうっかり公共物損害。二人は顔を見合わせると逃走した。


「君は!本当に!後先考えないんだね、よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜くわかったよ」
「そんなに伸ばさないで下さいよ…誰もいなかったんだし大丈夫だよ」
「そういう問題か!勇者である僕が街を破壊するなんて」
「あ、ほらあそこ!道具屋ですよ、道具屋。探しましょうよ、種」
「おい、待て!誤魔化す…な?」
驚きで立ち止まったアレフ。それは少し前を歩くすけさんも同じだった。視線の先には…
「…鳥?」
赤チョコボ。二人にとっては未知の生物である。
(…モンスターか?あ、背中に人を乗せてるのか…多分、狂暴ではないんだろうな。)
「変わってるなあ。でもかわいいね」
「…う〜ん…そうか?」
鳥は道具屋の前の道を通過していった。城下町を出るか、酒場に行くんだろうな…多分。
「いいな〜、あれ…」
すけさんは鳥が気に入ってしまったようだ、去っていった方をぼんやりと眺めている。
「そんなこと言ってたってしょうがないだろ、ほら、道具屋行くぞ」

アレフ達はダイスダークとミリアという先客がいる道具屋へと足を動かしていった。

【アレフ 現在位置:道具屋前 所持品:稲妻の剣 行動方針:キーアイテム探し 願い:ラブアンドピース!皆が幸せに】
【すけさん 現在位置:道具屋前 所持品:あるくんです 行動方針:アレフの手伝い、もょもと・アイリンの捜索 願い:なし】

【ダイスダーグ 現在位置:アリアハン道具屋 所持品:引き寄せの矢20本、銅の剣、?
 行動方針:道具屋でアイテム調達後、アリアハン外へ 願い:世界の支配】
【ミリア 現在位置:同上 所持品:無し 現行動方針:ダイスダーグに従う 願い:?】





098<種>

「力の種」「素早さの種」「賢さの種」「ラックの種」「スタミナの種」
その内前者3つはよく知っている種であり、さらに少し前にラックの種を、今しがた南の茂みの中で力の種を拾った。

ラックの種。ラックというからには、運に関係しているのだろうが、一体どういうメカニズムなのだろう?
そもそも、種を飲んだくらいで運がよくなるというのも不思議な話だ。あり得るのだろうか。
もしこれを持ち帰れたとしても、解析は難しいだろう。

さて、もう一つ、自分の世界には無い種である、「スタミナの種」
おそらく体力を付ける種であろう。こちらもラックの種同様、この世界に来て初めて知ったものだ。

この二つはもしかしたらここを離れると二度とお目にかかれないかもしれない。
ここはいざないの洞窟に続く道。海岸から少し北に行った場所だ。
ゴールしようと思えばゴールできるだろうが、今は未知の種を集めたい。
ここで待って誰かからスタミナの種を譲ってもらおう。

【トンヌラ 所持品:ダイアのティアラ、ラックの種、力の種 現在位置:いざないの洞窟へ続く道 
 行動方針:スタミナの種と力の種を交換後、旅の扉へ 願い:ステータスアップの種の生産技術、量産技術の確立】





099<目覚めたが観光気分>

切り裂かれた宿屋の看板は地面に落ち、

 ゴ ト ン ! ギイン! カラン コトン カラカラカラ…

この世界において、宿屋は最重要施設。旅人にとっても必須である。
だから当然看板もでかい。大きな音を立て、地面に突き刺さった。
「うわっと!」

ゴトン!

音がするやいなや、他にも何かが落ちた。ベッドからプサンが落ちたのである。
「あいたたたた…おや、ここは・・・?」
確か観光をしようとして地図を見て出てきた巻物を読んで…
「あ、そういえばあの男性はどうしたんでしょうかね?」
すぐにマサールの眠っていた部屋に向かう。部屋はもぬけの殻だった。
代わりに書き置きが残されていた。
『倒れていた私を介抱してくれたことに感謝している。
 できれば直接礼を言いたかったが、私には願いがあるので、もう行かねばならない。
 願わくば、また巡り遭わんことを』
「あらら、もう行ってしまいましたか。でもいいことをしたあとは気持ちいいですねぇ」

書き置きの内容はほとんど建前だけで書かれたもののようだ。
お気楽なプサンはそこに気付かず昼の爽やかな目覚めを堪能中だった。
「さて、そろそろ出発しましょうか。最初はお城から見て回っていきましょうかね」
地図を片手に、観光気分で歩き出したプサン。キーアイテムが発表されたことにはまだ気付いていなかった。

【プサン 現在位置:アリアハン城門前 所持品:バクスイの巻物(祝福状態)
 行動方針:観光、ただしなるべく多くの世界を見たい。 願い:特になし】





100<自爆>

レーべの村周辺。ウェッジとジェシーはキーアイテム発表の放送を聞いていた。
「種っスか。西の村にあるっスかねぇ。」
「そうね、あるといいわね。それにクラウドかティファに会えるといいわね。」
「あ、なんか誰か前にいるっス。なんかしゃべってるスよ。」
前にいたのは狂気の科学者ルゲイエだった。
「バルナバ…バルナバぁ…なぜいないんじゃ」
「なんかあの人おかしいわね。」
「そうっスね。近寄らないほうがいいっスね。」
そういった瞬間、ルゲイエは二人の存在とジェシーの乗っている魔導アーマーに気づいた。
「そ、それをよこすんじゃ!!」
「え、なにするのよ。」
ルゲイエはジェシーの思いもよらないスピードで魔道アーマーに近づいていった。
ジェシーは気づくと魔導アーマーから振り落とされていた。
「合体メカじゃ〜(゚∀゚)アヒャ!我が愛するバルナバではないが、いい乗り心地じゃ。」
「な、なんなのよあんた。人のもの奪っておいて。ウェッジ、やっつけて!」
「よ〜し、いくっス。」
ウェッジは持っている魔晄銃を放った。
「なんじゃ?ぐわぁぁくぁwせdrftgyふじこlp;@。ひ、卑怯じゃ!いきなり攻撃など。」
「卑怯はどっちよ!」
「なんじゃと、こっちも攻撃してやる。およ・・・・・・?何じゃ、このボタンは・・・ポチッ。」

「自爆」
ドガァァァァアアア!!!!

その爆発はレーベの町までも飲み込んだ。そして爆発の中心にはルゲイエボーグが一人立っていた。

【ジェシー(生死不明) 現在位置:レーべの東の平原 所持品:なし 
 行動方針:レーべの村へ向かう・クラウドとティファとの合流 願い:今のところ無し】
【ウェッジ(生死不明) 現在位置:同上 所持品:魔晄銃 行動方針:同上 願い:?】

【ルゲイエ(ルゲイエボーグ化) 現在位置:同上 所持品:? 行動方針:殺戮 願い:?】
※レーベの村付近一帯が爆発に飲み込まれました





101<スリースターズ>

クラウドはアリアハン城下町をしばらく歩いた。
通りを大分行くと、手入れのいい加減な庭木があるかと思ったら、そのすぐそばに武器屋があった。
「ここだな」
中に入ろうとすると、扉にカギがかかっていた。
無理やりこじあけようと取っ手に指先を伸ばす、が、一瞬で手をひいた。
(誰かいるのか……?)
かすかに中から物音が聞こえてきたのだ。
ネズミか何かかもしれないが、他の参加者が息をひそめて待ち伏せしている可能性も充分考えられる。
クラウドは、ひとまず周りに内部を覗ける窓がないか探すことにした。もちろん外回りにも誰か潜んでいないか
用心しながら。
家屋の裏側にいくと、ガラス窓があった。
中をそっと覗いてみる。
特に誰もいないようだ、ただ商品棚の陰やカウンターの裏側が見えないが……。

少々危険かもしれないが、突入する、クラウドは決心した。
たぶん誰もいないだろう……いたら戦いになっても仕方がない。
クラウドは入口にまわり、ドアを蹴破った。
突然目の前を人影が横切った。
「プロテスブリンクシェルバリアウォールヘイストバーサク16!」

それはミンウ。最上級の魔法を使いこなすフィン王国の白魔導師。
「待て、俺は敵じゃない」
クラウドはそう言うしかなかった。もしこれが敵にまわったらかなり危険な相手になるはずだから。
何しろ1ターンで7つも魔法を連続で唱えられるんだし。

「そうか、敵ではないか。すまない、早とちりしてしまったようだ」
ほとんど無敵になったミンウがクラウドに手を差しのべた。

【クラウド(FF7) 現在位置:アリアハン武器屋 所持品:マイナスイオンドライヤー
 行動方針:武器入手、ティファと合流、セフィロスを追う  願い:?】
【ミンウ 現在位置:同上 所持品:スリースターズ 行動方針:? 願い:?】





102<アフロに黒コゲ>

「……」
「……」
爆発から少し離れたところに真っ黒焦げの人間一人。
「よく生きてたわね。私。」
黒い。髪の毛アフロ。
体中黒コゲで死んでてもおかしくなかったが何故か生きていた。
ありがとう神様。
普通に歩けるし全く問題はない。
さて、ウェッジは…
         _
    ___/;;;;;冫 ←この辺足 
    (;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ 
      |;;;;;;;;;;;;|  
      |;;;;;;;;;;;;\←この辺腹
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      地面

やはりウェッジ。期待を裏切らない男である。
今の爆発で村らしきところにも爆風は及んだはずだがそれほど被害はでていなさそうだ。
ウェッジを引っこ抜いて引き摺ってとりあえずルゲイエから離れることにした。

【ジェシー(アフロ髪) 現在位置:レーべの東の平原→レーベの村 所持品:なし 
 行動方針:レーべの村内部へ移動 クラウドとティファとの合流 願い:今のところ無し】
【ウェッジ(気絶) 現在位置:同上 所持品:魔晄銃 行動方針:気絶中 願い:?】
※レーベの村の武器屋が半壊しました。





103<会いたいよ>

「う…うう…ん、痛い…」
ソロが図書館跡を去って30分、ギルバートはようやく目を覚ました。
「僕、は…そうか、あの人に助けてもらって、そのまま気絶してたのか…」
起き上がるとガラガラ…と音を立てて周りの瓦礫が少し崩れた。
痛い。けど、動ける。魔法の直撃を受けた傷口は応急処置が施されていた。多分…あの人だろう。
ふぅ、と息をついて顔を上げる。そして初めて自分の周囲の状況に気がついた。呆然とする。
「凄い…あの人、どれだけ強いんだ」
そしてこの状況を前にして、彼の心にふと一つの考えが浮かんだ。

こんな力を持った人が、もし邪悪な敵だったら―――?

ギルバートの背筋をぞわっ…と冷たいものが走った。…恐ろしくてたまらない。
でも…このレースは実際強い人がたくさん出場させられてるんだろう。
さっき戦った緑の髪の人も、襲われていた二人も、助けてくれたあの人もみんな間違いなく強い。
僕みたいな、弱虫なんかきっと他にいない。僕が一番弱い…。

「アンナ…僕は、どうしたらいいんだろう…君に会いたいよ、でも」
それにはレースに優勝しなくてはならない。しかしそれはギルバートにとって途方も無いことに思えた。
「やっぱり怖いんだ…でも、僕は…」
どうしたら、いい?

ギルバートはふらふらと城下町へ向かって行く。右手で握り締めているチキンナイフからは依然として神々しい力が溢れていた。

【ギルバート 現在位置:城下町 所持品:チキンナイフ 行動方針:半分放心状態 願い:アンナにもう一度会う】





104<魔法の玉>

何やら熱い。さっきまで確か踊っていて、ご婦人にその姿を見られて、吹っ飛ばされて…それでどうなったのか?
目を開けてみる。目の前にはまるで溶岩のように煮えたぎる怪しい薬品が…
「!!!!!!!!!!!!!」
寿命が一気に縮んでしまった。
しかし、そこはさすがに伝説の英雄と呼ばれた男。薬品ギリギリのところで体が止まっているのが分かると、
何とか落ち着きを取り戻した。
何故落ちないのか。答えは簡単、メルビンとパルマーの体が壷の口に引っかかっているから。
だが、これでは身動きも取れない。まずはこの状況をどうにかせねばならない。
「お隣の方、起きるでござるよ」
「……うひょ?」
メルビンの呼びかけにパルマーが目を覚ました。
「……うひょっ!ひ〜〜〜!死ぬ〜〜〜〜」
パルマーが暴れ出した。壷が激しく揺れた。
「お、落ち着くでござる!大丈夫、落ちはしないでござる!だから落ち着くでござる」

何とかパルマーを落ち着かせ、名前を聞き、状況を説明する。

「……とまあ、こういうわけでござる。何かいい脱出案はないでござるか?」
「うひょ、うひょ」
さっきから「うひょ」と言うばかりだ。自分にもいい案は浮かばない。もしかして、ここでこのまま失格になるのだろうか?その時、


ドガァァァァアアア!!!!


その時、轟音と共に、壷が大きく揺れた。


「うひょ〜!うひょ〜!」
パルマーが激しく暴れる。
「パルマー殿、落ちつくでござる!パルマー殿!」
しかし、パルマーは相変わらず暴れるばかり。しかも体がだんだんずり落ちている。
(く…万事休すでござるか…)

その頃壷の外では…
爆発によって起こった衝撃で、2階にあった魔法の玉がころころと転がり、一階まで落ちてきていた。
それは、レナのファイラによって起こった炎に熱せられ、そして…


ドガァァァァァァァアアアアアア!!!!!!!


第二弾。範囲は狭いものの、そのエネルギー量は凄まじく、民家は消し飛んでしまった。
二人が体を突っ込んだ壷は、何とか原型をとどめたものの、空高く飛ばされていった。

【パルマー(軽傷.下半身軽い火傷.素っ裸) 現在位置:上空 所持品:なし 行動方針:壷から出る 願い:?
【メルビン(軽傷.下半身軽い火傷.ステテコ一丁) 現在位置:同上 所持品:なし 行動方針:同上 願い:邪悪なものの優勝の阻止】
※レーベの村の民家が一つ全壊。パルマーの所持品はどこかに吹き飛ばされました。





105<ティナ>

「きゃぁぁっ!」
不意に爆風を喰らい、碧の髪の少女は思わず悲鳴を上げた。
不運にもメルビンたちのいた家の前を歩いていたその少女の名は、ティナといった。

爆風で向かいの家の壁に叩きつけられたティナは、
ギクシャクする体をどうにか動かし、立ち上がった。
目の前の瓦礫の山を呆然と眺めてから、彼女は生存者がいないか目を凝らした。
(そのころメルビンたちは、はるか上空を飛んでいた)

動く影がないのを確かめると、ティナは、少し哀しそうな瞳をして、再び歩き出した。

愛を知った今、私が願うことは、子供たちが幸せであること…それだけ。
でも、そのための犠牲なんて…絶対に払いたくない。

ティナは、ここに来た時から、そう心に決めていた。

その想いに反発するかのように、彼女に渡された袋の中で、かつて彼女を苦しめた『操りの輪』が静かに光を帯び始めた。

【ティナ 現在位置:レーベ 所持品:操りの輪 行動方針:平和 願い:子供たちの幸せ】
※ティナ本人は操りの輪の存在に気付いてません






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