076<なんとなく>

「さっきの爆発……なんでしょうか」
「さあ……でも、ヤバそうな気がするよな」
ロザリーとジタンは砂浜で海岸線に見入っていた。海面はキラキラ輝いてる。
のどかな潮風が身体にあたり、ジタンは気分がよかった。
「しばらくここで様子みるか」
ジタンは砂の上に寝転がった。どこまでも突き抜ける濃い青い空がみえる。
「そういえば、あなたは何故ここに来たの」
ジタンは横になったままロザリーの顔を見た。思ったよりもすぐ近くにロザリーがいたというような感じで
驚いた顔を傾けた。
「なんだよ唐突に」
「急に訊きたくなったんです、いけませんか」
ロザリーは言うなり黙ってしまった。
しばらく沈黙が続いた。それに耐え切れなくなってジタンは言った。
「ああ……なんだっけ、忘れちまった。俺の愛する女の子に会いに来たんだっけか」
「それが願いなんですね。私も毎日愛する人に会えるようになるために、この大会に参加を希望したんです」
ロザリーはぱっと顔を明るくした。ジタンは頭を掻きむしった。
「いや、違うよ……俺の場合、会おうと思えばいつでも会えるし一応……」
「では、何ですか」
ジタンはロザリーと視線が合って苦笑いを浮かべた。
「ああ、思い出した。世界に一人だけの貴女に出会うため、ここに来たんだった」
ジタンはそう言ってロザリーに手を伸ばした。
晴れ晴れとした天気がずっと続いていた。

「笑えないギャグですね。こっちが恥ずかしくて嫌になるような」
ロザリーは全然笑わない。むしろ怒っているぐらいかもしれない。
要するに、ジタンは外したらしい。ロザリーは顔をそむけてしまった。
「ああ、そうですか」
ジタンは手をひっこめて口笛を鳴らした。

【ジタン 現在位置:アリアハン南東の海岸 所持品:? 行動方針:ロザリーについていく 願い:?】
【ロザリー 現在位置:アリアハン南東の海岸 所持品:? 行動方針:なんとなくジタンとついていく 願い:?(ピサロ関連?)】





077<放送 〜第一ステージ・キーアイテム発表〜>

天が轟き、そして裂ける。
誰もが何事かと思った。
何かまずいことでも起こったのか、と。
そしてそこには見知った顔と、中には見知らぬ顔が並んでいた。
「皆、如何過ごしているかな。」
たとえ、空が見えない場所としてもその声は地獄の底まで届くだろう。
「おほほほほ、皆頑張っているようね。各地から「神」と「魔王」が続々と集結しているわよ。」
神龍、デスタムーア、ダークドレアム、三闘神…
世界の秩序を守る神、侵す神、そしてそのどちらにも属さない神。
皆、肩を並べている。
世界を超えた神と魔王の集結に皆、口を閉ざした。
「皆待ち惚けしているからキーアイテムの発表を行う。」
神龍が口を開ける。
沈黙を破ってどこからか「早くしろこのエロドラゴン!」と声がした。
「此度はこれらのアイテムとする。」
無視して言葉を続ける。
「これら」?複数形ということか。
女神がプレートを掲げる。
「知らないというものも少なくないだろうから図解で示す。
 
 「力の種」「素早さの種」「賢さの種」「ラックの種」「スタミナの種」

 以上の五種である。これらのうちどれか一つを手に入れればよい。
 覚えきらないというものには各自持ち歩いている地図に図で示しておく。」

「知っているだろうが、それらのキーアイテムを手に入れたら「いざないの洞窟地下3F」の旅の扉までたどり着くように。
 旅の扉前でそのアイテムを持っているかチェックする。」
「それじゃあ、皆の健闘を祈るぞ。」

※ 「力の種」「素早さの種」「賢さの種」「ラックの種」「スタミナの種」がキーアイテムとして設定されました。
アイテムを見たこともない人にも親切設計。地図にこれらの図が示されてあって忘れても問題ないようにしている。





078<硬直>

「い、今のは…」
「…何だか、凄い人達に観戦されてるみたいね。」
たった今、天が裂けて見えた光景。…異常だ。というか、あれを人と呼んで良いのか。
ロックは何だか頭が痛くなってきた。神や魔王というのはそんなに娯楽が好きなのか?
「え、えっと…キーアイテムを探さないとね?」
セリスが思い出したように言う。まだ半分放心状態のようだった。サンチは少しだけ泣きそうな顔をしている。…怖かったのか。
ロックは地図を広げた。地図の下の方に、先程まではなかった図が記されていた。五つの種の絵が書いてある。
「そうだな…。誘いの洞窟はすぐそこらしいし、この辺りで探してみるか?」
「でも、種といっても普通の植物のものなのかわからないし…」
サンチはロックの地図を覗きこんだ。図を指で示して、
「…これ、知ってる。」
「「え!?」」
ロックとセリスの声がハモった。
地図を覗きこむ。示された絵は『ラックの種』。自分には見覚えがない。
「本当?どこで見たの?」
サンチはセリスの質問に、黙って先程までいた祠の方向を示した。

…硬直。

「…まだ奴はいると思うか、セリス」
「さっきの今よ?絶対にいると思う」

【ロック 現在位置:南東の祠から南に行った海岸 所持品:ライトブリンガー 死神の指輪
 行動方針:キーアイテム探し(祠にはエクスデスがいるので近寄りたくない) 願い:ありとあらゆる世界の冒険】
【セリス 現在位置:同上 所持品:祝福の杖 行動方針:同上 願い:今現在はない】
【サンチ 現在位置:同上 所持品:なし 行動方針:ロック、セリスの手伝い 願い:とにかく帰りたい】





079<勇者ロトのミス>

キーアイテムが種だとは思わなかった。幸いにもオレは少し前に森に入ったばかり。
森の入り口も近くに見えるしアリアハンの町もすぐそこだ。
さすがは神だ。そうか、ロトの名を持つこのオレが優勝できるように段階を踏んでくれているんだな。
神龍様、さっきエロドラゴンと言ったのは撤回。御協力ありがとうございます。


勇者アルス。彼はあまりにもラッキーな展開に、ガラにもなく神に感謝した。
初めはセージを見つけようと思っていたが、キーアイテムの位置が分かった以上は、そちらが先だ。
いざないの洞窟までの最短距離も分かっている自分ならコース間優勝も十分狙える。
彼の負けず嫌いの血が騒ぐ。何としても一位で通過したい。
彼は足場の悪さにもかかわらず、アリアハンに向かって全力で走り出した。

――それが彼のミスだった。

ずぼっ

くぼみに足を突っ込んでしまい、足を捻挫してしまった。
それだけなら回復呪文で何とかなるのだが、足首が引っかかって、くぼみから足が抜けなくなってしまった。
運が悪いとこのまま失格になってしまうかもしれない。非常にマズイ。
「だ、誰か!誰かいないか!?助けてくれ!」
彼は大声をあげ、必死で助けを求めた。

【アルス{足を捻挫} 現在位置:森の入り口付近 所持品:麺棒 行動方針:助けを求める 願い:?】
※くぼみから足が抜けません。





080<不幸の呪いは始まったばかり…>

放送より遡ること30分前。

森の中の、ナジミの塔が見える岸辺に放りだされたティーダは
とにかく支給品だけでも確かめようと、袋を開けて中身を出した。
「……なんだこりゃ? マントッスか?」
食料と一緒に出てきたのは、透き通ったマントだ。
羽のような軽さと、水でできているかのような輝きからして普通のマントではなさそうだが……
ティーダはしばらく、この不思議なマントの美しさに見入っていた。
――思えば、この時さっさと装備していればよかったのだ。

「うおぁあああああッ!?」
突然のことだった。上空からの絶叫が、森の静寂を破ったのは。
「え?」
ティーダが声に気づき、顔を上げた時にはもう遅い。
空から降ってきた男の足が、ティーダの頭にヒットした。
ちょうど湖に向かって蹴り飛ばす形で。

「すまない。まさか着地点に人がいるとは思わなかったのだ」
奇妙な兜を被った男――カインは頭を下げた。
文句の一つも言ってやろうと思ったが、素直に謝られてしまうと毒気も抜けてしまう。
「いいっスよ。ボーっと立ってた俺も悪かったんだし」
ただ、支給品がどっかへ行っちゃったけど。そう言ってティーダは揺れる湖面に顔を向ける。
もともと透明なマントは、水に紛れて沈んでしまっていた。
いかに目がいい人間であろうと、見つけることは不可能だろう。
「俺の支給品でよければ譲るところなのだが……
 この兜もなにやら魔法が掛かっているらしく、なかなか外せないのだ」
「いやいや、そんな。気ぃ使わなくてもいいって」
「だが、ゴルベーザ配下の妖魔も参加しているレースで、素手で行動するのは危険だ。
 どうだろう。せめてもの詫びに
 支給品の代わりが見つかるまで、援護をさせてはもらえないだろうか」
もちろん、断る理由などない。ティーダはカインの申し出を受け入れた。
だが、二人は気づいていない。
水面からふわりと空に浮き上がったマントの姿に。
そして、この先もついて回る不幸の呪いに……

【ティーダ 現在位置:岬の洞窟近くの湖岸 所持品:無し 行動方針:支給品の代わりの道具を探す 願い:?】
【カイン 現在位置:同上 所持品:不幸の兜 行動方針:ティーダの援護 願い:?】
※ティーダの支給品、飛び水のマント(FFU・空中浮遊&移動可)





081<走る彼>

セージは静かに憤りと焦りを感じながらアリアハンへと走っていた。


報告直後。
実は既に彼はレーべへと到着する手前だった。
しかも森を抜けてやっとたどり着いたら「種だ」と言われたものだから、非常に困ってしまう。
それにこのどこかにアルスがいる。彼が余分に種を手に入れて他の参加者を陥れる可能性もある。

「森に焦土作戦でもしてショートカットを…いや、流石にこれ以上の自然破壊は……」

危険思考へとトリップしそうな彼だが、もうイオナズンの前科がある。
更に森の中に人がいたとしたら完璧に殺人事件が発生だ。
リスクも高すぎるし、そこまで悪事を働く理由も無かった。


そして今に至り……、
セージは森を避けるルートで走っている。
長年の交通で踏み固まれた道は、先ほどの森よりも無駄なく走ることが出来る。
だが、楽に移動ができるということは、

「敵意を持つ参加者が現れても可笑しくは無い…か」

本当に"敵意"を持っている参加者がいるのかは知らないが、
凶暴か否かわからない魔物や、明らかにやり手の人間達もいた。

――――まぁいい、まずは酒場で種を手に入れよう――――
そして彼は直走る。地に落ちる汗は、彼には似合わなかった。


【セージ(軽い疲労) 現在位置:アリアハンへの森沿いの道 所持品:扇子
 行動方針:アリアハンを目指す 願い:この世界(DQ)と異世界(FF)に存在する全ての呪文を習得する】





082<どうすっかなあ?>

「どうすっかなあ」
もょもとはあまり使わない脳味噌を使い、状況を整理していた。
キーアイテムが発表されてしまった。恐らく、大抵の参加者は必死になってくるだろう。
1つの場所に留まっていた奴等も動き出す可能性がある。つまり、鉢合せの可能性が高くなる。
鉢合せしたときに相手が襲い掛かってこない保証はない。しかし、こちらはピサロが重症である上に武器も持っていない。
まずピサロの回復をしたい。このままではキーアイテム探しはもちろん、自衛も出来ない。
「ピサロの言ってた奴もみつかんないしなあ…」

もょもとは先程の出来事を思い出した。城下町を離れようとしたときに入れ違いで入っていった少年。
その少年の背中にはもょもとがよく見知った人物が担がれていた。
「すけさん…!」
だがそれに気づき振り返った時は、少年は角を曲がり城下町の中に消えていったところだった。
すけさんは回復魔法が使える。一瞬迷ったが、追わなかった。
状況から見てすけさんも怪我を負っているよう(に見えた)だったし、何よりも城下町は危険だ。
さっきの緑髪のやつと会うかもしれない。すけさんの事も気になるが、ピサロの回復優先だ。

「レーベって村に行けば薬草があるかな?」
薬草には回復呪文ほどの効果はない。でも、立ちあがれる程度には回復すると思う。…多分。
もょもとはピサロを担いだままレーベに向かって走り出した。

【もょもと 現在位置:アリアハン北の橋付近 所持品:鋼の○金術師7巻まで、コンドーム50個
 行動方針:ピサロの治療(ロザリー(名前は知らない)の捜索、レーベに向かう) 願い:?】
【ピサロ{重症} 現在位置:同上 所持品:なし 行動方針:睡眠中 願い:?】





083<後の祭だ!ハッサン!>

アリアハン南西の岬。放送が流れる少し前のお話。

「世界一カッコいい漢に…俺はなるっ!」
ひとしきり海に向かって吼えたハッサンは、決意も新たに支給アイテムをまさぐっていた。
「これは…力の種か。一粒だけとは神様もしけてんなあ」
その時、空を覆う神と魔王達の放送が始まった。種をほおばりながら聞き入るハッサン。


「すげぇ奴らだ、この俺が圧倒されちまったぜ…。キーアイテム……って力の種かよ!
うおおおぉ今すぐ吐き出せ俺!」
じたばたとのどを抑えのたうち回るハッサン。もちろん後の祭りにしか過ぎなかった。

ハッサンの ちからが 3 あがった!

【ハッサン 現在位置:アリアハン南西の岬 所持品:なし 行動方針:キーアイテム入手 願い:カッコよくなりたい】





084<薄幸なサトチー>

サトチーは放送を王城の窓から見ていた。
キーアイテムは5種類の種。そのうちのいくつかは自分の世界でも見覚えがあった。
そして経験上城や民家の壷や樽に入っていることが多いことも知っていた。誰が、何故そんなところにしまうのかは知らないが。
そして今、自分の居場所は王城。

「…。しょうがないんだ。王家のため、子孫のため。王家のため、子孫のため…」
サトチーは腹を決めた。


「ここにはないのかな…?」
一階の壷や樽、タンスをまでもを覗いて回ったが種は見つからない。薬草や小さなメダルはいくつかみつかったのけれど。
あ、ちなみにそれは気が引けるのでそのままにしておきましたよ。ええ、断じてコソドロではないので。
まだ二階は見ていない。サトチーは何となく複雑な気持ちで階段を上がっていった。
そして、

「!!」
階段を上がりきった瞬間目に入ったのは何か手にしているものを眺めながらこちらへ向かってくるヘンリーの姿だった。
反射的に四画へと身を隠した。ヘンリーはまだこちらに気がついていないようだ。
(…って、何で隠れる?身内に見つからないようにとは思ってたけど…)
ヘンリーなら問題ない。しかし、今さら物陰からひょこひょこ出ていくのも何だか変な気がした。
「…。」
ヘンリーは四角にいるサトチーの真横を通り過ぎた。
しかしサトチーが気配を消していたことと、何やら自分が手にしているものに集中していたことで全く気がつかなかったようだ。
ヘンリーはそのまま階段を降りていった。

しかし、サトチーは気がついていた。
ヘンリーが手にしていたものは地図と、ラックの種だったということに。
つまり、ラックの種はこの部屋にあって…

「先を越された…」

サトチーは階段の上からヘンリーの背中を見送り、自分の運の無さを呪うのだった。

【サトチー 現在位置:アリアハン城玉座付近 所持品:?
 行動方針:身内に見つからないように移動・種を探す  願い:グランバニア王家のネーミングセンスを一般人並にする】

【ヘンリー 所持品:守りの天蓋(残り3枚)・ラックの種 現在位置:アリアハン城→城下町へ
 行動方針:出来るだけアイテムを使わないよう進む・? 願い:?】





085<極秘情報!!!エクスカリバー4>

すげえ!!
すげえ剣ゲットした!!マジで!!
その名もエクスカリバー4っていう!!
どれくらいすごいかってゆうと、まず3を飛ばしていきなり4!!
全部の敵がイチコロ!!あと特技の垂直ジャンプはこれでしか覚えれない。
攻撃力は10000もあるし、与えるダメージは全部9999で、しかも説明書に「これは最強の剣です」と
書いてある、強い!!
セフィロスも見ただけで即死!!マジで!!敵と戦闘した瞬間に全部の敵が即死する。マジ。
ゲットのしかた知りたい?読者だけに特別に教えてやる、特別に。
まずは、今飛んでいるヘルバトラーを見つける。見つけたら、奴を城の狭い部屋に閉じこめる!!これはマジ。
すると、ヘルバトラーが怒って炎をはく!いまがチャンス!!
いっしょにいたスライムナイトに5回会心の一撃を出す!!するとヘルバトラーが今度はザオリクを唱える!!
今がチャンス!!すぐにヘルバトラーを窓から投げ捨てろ!!これはすぐにやれ!!
するとヘルバトラーが地面にめりこんで動かなくなる。そうなったらもうこれはしめたもの。
すぐに下に降りてヘルバトラーが生きているか確認しろ!!嘘じゃない!!
死んでると、なぜか死なないで生きかえる!!まじ!!そうすると
めの前にはエクスカリバー4が落ちてる!!
これが取り方だ。
これは極秘情報なので、特別におまえらだけに教える。
他の参加者には内緒だ!!それと運営側にもいわないでくれ。
この方法が嘘でないことは100パーテント保障できる!!
しかし運営側はこの方法は封印してあるので知られたくないらしい。
だから、みんなこの約束を守ってくれ!!
成功した場合でも「すげえ!!マジだ!!」とか「ありがとう!!」とかいうな!
「嘘吐きバーか」とか「嘘じゃん」とか「できなかったよ」とか言え。
それが成功のしるしだ!!その言葉がいっぱいついたら成功だという暗号にしよう!!
ではまた!!

【神羅上等兵 現在位置:アリアハン城中庭 所持品:エクスカリバー4、? 行動方針:優勝する 願い:?】
【バトラー(気絶) 現在位置:アリアハン中庭 所持品:? 行動方針:PK 願い:?】
【ピエール(気絶) 現在位置:同上 所持品:無し 行動方針:PK 願い:?】





086<ファイラ>

レナはレーベの村にやってきた。
「種って言うとやっぱり植えるのかな?花の種かしら。」
花の種とは違うのだろう。
「それとも大きな木になるのかしら。」
種、なんだからもしかしたら家に保管しているってこともある。
そして何気なくドアを開ける。

          メルビン パルマー
      ♪   / ヽ       
         ヽ(´Д`;)ノヽ(゚∀゚´)ノ ランタ タン
            (  へ)  ( へ)   ランタ タン
             く     く      ランタ ランタ タン
ステテコパンツ一丁↑   ↑素っ裸

レナのファイラが炸裂した。ファイガでない、そして直撃させないのはせめてのも優しさか。
二人は衝撃で吹き飛び仲良く部屋の中央の巨大なツボに顔を突っ込んで気絶した。
レナは顔を真っ赤にして息を荒立てる。
「な、何なの一体?」
これはレースよね…と再確認する。決して奇人変人大会ではない。
そして冷静になってまたやってしまったと嘆く。
焦げ付いた部屋の片隅のツボがひっくり返って、中から賢さの種が転がり出た。
部屋の中央でツボに顔を突っ込んでいる二人をなんとなく避けて回収した。
バッツやファリスとも会いたい。だけど、今は先に行かせてもらう。
「ごめんね、姉さん。バッツ。」
でも気絶している二人は放置。

【レナ 現在位置:魔法の玉があった家の一階 所持品:鋼のはりせん 賢さの種】

【メルビン(気絶軽傷ステテコパンツ一丁) 現在位置:同上 所持品:なし 行動方針:気絶中 願い:邪悪なものの優勝の阻止】
【パルマー(気絶軽傷素っ裸) 現在位置:同上 所持品:? 行動方針:気絶中 願い:?】
※踊りの石像はファイラで消し飛びました。





087<本当にね>

アイリンは難しい顔で地図を眺めていた。拾ったアイテムでマトモなものは薬草と毒消し草だけだった。
(アイテムを…あんなに探したのに、キーアイテムはなかった。どうしよう…)
それもそのはず、ああいった種は結構貴重な物であるとアイリンは知っていた。
「問題はそれがどこにあるかなのよね…」
もうそんなに時間は無いだろう。早めに行動しなくてはならない。
「杖さえあれば誰かから奪うことも出来たかもしれないのに…!」

アイリンはなんとしてでも優勝したかった。願いは、滅んだ故郷を何もかも元に戻すこと。
(お父様、お母様…あたし、頑張りますから。どうか応援して下さい…)
もう一度、みんなでやり直したい。父、母、城の親しかった者のことを思うと少し落ち着いてきた。
「とにかく情報収集…運が良ければ、教えてくれる人がいるかもしれない。城下町へ行こう」
そして立ちあがる。その時だった。

「だ、誰か!誰かいないか!?助けてくれ!」

男の人の叫び声。近い、すぐそこだ。
アイリンは迷うことなく向かっていった。今は誰かに頼らなくては先に進めないのだ、情けないことだが。


「誰か、たーすーけーてーくーれー!」
アルスはとにかく焦っていた。助けを呼びながら、くぼみに嵌ってしまった足をなんとか引っ張るのだが全く効果が無い。
というか、むしろ痛くてたまらなかった。
「うう…これが勇者の姿か?情けない…」
「本当にね」
背後から、突然の同意の声。アルスは驚いて上半身だけで振り向く。そして、
(かっ…かわいい…)
赤面した。その少女のカールしたつやつやの紫髪、大きな瞳、白い肌。アルスが探していた女の子とはまた違う美しさがあった。
少女は無言でアルスに近づくとアルスの足を丁寧に引っ張る。そしてあっさりと抜けた足にホイミを唱えた。

「はい、これで大丈夫よね」
アルスはその声にはっとする。アイリンの顔が近い。綺麗だ…。
…この時点で女の子大好き勇者・アルスの腹は決まっていた。もち勧誘!これっきゃない!
「ありがとう!本当に助かったよ。ところで、お礼に」
「キーアイテムのことを知っている?なにか知っていたら教えて。お礼はそれでいいわ」
「えっええ…」
アルスはお礼に君の護衛をするよ、君は美しいから1人では危ない…(略)と続けようとしていた言葉を塞がれて戸惑った。
「と、アリアハンの酒場に大量にあるよ、ルイーダって人がたくさん持っててさあおかしいよな、アハハ」
…何故か、とてつもなくカッコ悪い続け方をしてしまった。最後のほうのアハハが痛々しい。
アルスは心の中で落胆した。オ、オレって奴は…
「そう、ありがとう」
少女は笑顔でそれだけ言うと立ちあがり、早足で歩き出した。
「あっ、待って!」

アルスも慌てて後を追う。アイリンは立ち止まらない。アルスは速歩きしながら声をかける。
「ねえ、お礼に君の援護をしたいと思うんだけど…」
「いいわよ、貴重な情報をもらえたんだから貸し借りなしでしょ。援護してもらう理由は無いわ」
アイリンは歩調を緩めることも無く、振り返ることも無く背中で答える。
「そんなこと言わないでくれよ。ねえ、俺も酒場に行くんだ!君の名前は?」

何も答えないアイリンを諦めることなく必死で追いかけるアルス。2人はそのまま城下町へと向かうことになった。

【アイリン 現在位置:アリアハン北→城下町へ 所持品:薬草3個、毒消し草1個
 行動方針:キーアイテム入手 願い:ムーンブルクの完全復活】
【アルス 現在位置:アリアハン北→城下町へ 所持品:麺棒 行動方針:アイリンを仲間にする、キーアイテム入手 願い:?】





088<お姉様>

(な、何だ、この変態は…?)
種を探してアリアハン城へやってきたバルバリシアが最初に遭遇した参加者は、
尻に刺さった剣を天に掲げたまま気絶した男だった。
(勝つ為には早くキーアイテムを見つけなくては。だが…)
だが、目の前の変態が気になってしょうがない。
剣を抜いたらどうなるのだろうか…
抜きたい…

「ええい、抜いてしまえ!」
ズボッ!
「ハゥァッ!!!」


………僕は、いったい…
そうだ、兵士風の変態にやられて、その後尻に凄い衝撃がきて…気絶していたのか……
目の前には剣を持った金髪のお姉様。しかもセクシーな格好…
まさか、この御方が僕の尻に!
いや、そうに違いない!
「お姉様!愛の僕、アーヴァイン・キニアス、何処までも貴方様に着いて行きます!!」


(な、何なんだ、この変態は…?)
剣を抜いたら目が覚め、「何処までも着いて行きます」とは…
何か勘違いをしているのだろうか?
!?
「勝手に私に触れるでない!」
いきなり手を握ってきたアーヴァインに対し、驚くと同時に条件反射で袋に入っていた杖を手に取り、
思いっきり尻に叩き付けた。

バルバリシアの攻撃!
アーヴァインに62のダメージを与えた!!
アーヴァインはにっこり微笑んだ。

杖で叩かれ痛そうな仕草をしつつ、にっこりと微笑むアーヴァインを見て
(杖の特殊効果とは知らず)バルバリシアの中ではアーヴァインの変態度が30%アップした。
この変態はまずい、早くこの場を去らなければ…!
「お姉様!待って〜」
「変態、こっちへ来るな!」
城の中の捜索は止め、城下町の方まで一目散に逃げるバルバリシア。
バルバリシアを追い、尻の痛みを堪えながら必死で追いかけるアーヴァイン。
ズボンのお尻の部分に穴が開いていることに気付かずに…

【アーヴァイン 現在位置:アリアハン城門前→城下町へ 所持品:なし 行動方針:バルバリシアを追いかける 願い:?】
【バルバリシア 現在位置:同上 所持品:微笑みの杖、妖精の剣 行動方針:アーヴァインから逃げる 願い:?】





089<救助待ち>

ネリスは開いた時間を使ってメダルおじさんの家の中を調べていた。
アイテム確保。キーアイテム探し。この2つが理由である。
キーアイテムは見つからないものの、4つの宝箱とそれの鍵を見つけることができた。
一つの宝箱に三つの鍵という厳重な宝箱まである。
どんな貴重品が入っているのだろう。おそるおそる宝箱を開けた。
すると、中にはまばゆいばかりの黄金…かと見間違えるほどよく輝くメダルが大量に入っていた。
…そういえば浴槽にメダルが何枚も入っていたっけ…

ばたん。宝箱の蓋を閉めた。二度と開けることもないだろう。
もう一つも同じだった。鍵穴が三つ付いているものはメダル用だったようだ。

他の宝箱も開けてみる。
ガーターベルトにビキニにとげの付いた鞭。…このビキニ、紐が無いし、何より誰かが着た形跡がないのだけど…
ここの家主の趣味なのか。高い魔力があるみたいだから、一応もらっておくことにしたけれど。
最後の宝箱。どうせ変なものしか出ないと思っていたが、中身は案外まともだった。
装備できない、または使い方が分からないものがほとんどだったが。
装備できるものは装備した。あとは助けを待つのみ。

結局状況は変わっていないようだ…
ただ、何故か体調が少しよくなったような気はするのだが。

【ネリス 現在位置:アリアハン井戸内部 所持品:青龍偃月刀(E)力の指輪(E)神秘のビキニ(E)、とげの鞭、疾風のバンダナ
 行動方針:救助待ち 願い:心臓の病気を治す】
※当然神秘のビキニは服の下に着てます。少しだけ体への負担が軽くなります。
ブーメラン、ガーター、めがね、しのびの服、ソロバン、爪、杖、ゴールドパスは今のところ放置。





090<ティファとエドガー>

「う〜ん…ないわねえ」

アリアハン王城、東側の兵士達の部屋。ティファはキーアイテムを探していた。
彼女が旅の扉に飛び込み、始めにたどり着いた場所はレーベの村。
1位になれば願いが叶うと言う。が、ティファにはそこまでして叶えたい願い事は無かった。
一瞬エアリスやアバランチの中間達を生き返らせる…という考えが浮かんだが、すぐに首を横に振った。
他人の一度終えた人生を、自分の希望で勝手に再開させることは…あまりいいことではないような気がしたから。
ティファは優勝を狙うつもりは無かった。しかし。

「クラウド…」

そう、クラウド。
クラウドはゲームの説明がされている時、ずっとセフィロスを睨んでいた。セフィロスを追いかけてこのゲームに飛び込んだ。
そしておそらく今も追いかけている。ならば自分は出きる限りそれを手伝いたい。
レーベからアリアハンまでクラウドとキーアイテムを探しながら歩いてきたが、一向にそれらしい物もクラウドも見つからない。
知らない人は避けてきたので誰とも出会わなかった。そして現在に至る。

「あ…」
暗い部屋の奥に、地下へと続く階段。
「地下室があったのね。」
ティファは早足で階段を降りていった。



「くっ…無理だ…!」
エドガーは牢屋の中で仰向けに倒れこんだ。脱出を試みて何時間経っただろう?なんとか床板を剥がすことはできた。
しかし素手で穴を掘り、掘り、掘りつづけ…先はまだまだまだまだ長く。追い討ちのように先程のキーアイテム発表の放送。
正直、これ異常は無駄だと思えた。
「諦めるしかないのか…」
しかしその時、コツ、コツ、コツ…と階段を降りてくる足音がはっきりとエドガーの耳に届いた。
「!誰かいるのか!?」
立ち上がり鉄格子を掴む。そして目の前に現れたのは、やたら乳の目立つ女性。
「…どうしたんですか?出られないの?」
エドガーはほっと息をついた。しかしこのチャンスを逃したら脱落確定だろう。
「ああ、俺のスタート地点がここだったのだ。今まで床を掘っていたのだが…出来れば何とかして頂きたい。」
「ゆ、床を…?ちょっと待って下さいね」
と言うと、ティファは袋を取り出し中身を探る。確か自分の支給品は…
(それにしても床を掘るなんてすごいわね…でも、他に道が無ければ私もそうするかな?)


数分後。二人はアリアハン城門前にいた。
ティファの支給品は手榴弾。爆発で脆くなった鉄格子は、二人の力でもあっさりと曲がったのである。
「礼を言う、本当に助かった。悪いが急ぐので、次に会えたら何か礼をしようと思う」
「いえ、構いませんよ。エドガーさんも頑張って下さいね」
「うむ…それでは。すまなかった」
別れを告げると、エドガーはいそいそと城下町に消えていった。
「さて、私も急がないと…」

【ティファ 現在位置:アリアハン城門前 所持品:手榴弾×2
 行動方針:クラウドを探す、キーアイテム入手 願い:今は無い】

【エドガー 現在位置:アリアハン城下町 所持品:からくり掃除機
 行動方針:キーアイテム入手 願い:「からくり掃除機」の原動力を知りたい】






back///next



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送