000<プロローグ 〜開幕〜>

頭が重い。床が凍るように冷たい。
体の自由が利いてきた。靄のかかった頭を抱えて起き上がる。
そこには見知ったもの、知らない人、はたまたモンスターまでまさに区分なく集められていた。
「参加者」たちはここは何処だ、とか、どうしてここにとか話し合い始めた。
中には我関せずと、周囲を警戒していたものもいた。

「オーッホホホ!」
突然、場違いとも言える高笑いが響き渡った。
皆緊張の糸を張り詰めさせ、声の元を凝視する。
ホールに満ちていた闇が中央に凝縮し、見る間に色彩を取り戻し、恐ろしい魔人の姿を取る。
いや、魔人などと言う言葉では片付けられない。
文字通り「凍りつくような」邪気を放ち、淀んだ瘴気をまとい、絶望と恐怖をばら撒く存在。
「魔王」という呼び名こそが、彼には相応しい。誰もがそう思った。
……しかしそんな感想は、約二秒後に見事に裏切られることとなる。
恐怖と不安に震える参加者の姿を一通り見回してから、そいつは再び高笑いを上げた。

「オーッホホホホホホ! ようこそ、デク人形のぼうやたち!
 私の名は大魔王オルゴ・デミーラ。美しい私の姿とともに、記憶に刻みこんでね」

皆唖然とした。…おそらく、違う意味で。
おそらく大魔王というイメージが音を立てて崩れ去った瞬間だろう。
思わず自分の顔を鏡で見てみてみやがれバカヤローと叫んでしまったものがいた。
また、ある者は笑いをこらえていた。

呆気に取られている参加者たちをどう思ったのかは知らないが、
デミーラは一人満足そうにうなずいて、言葉を続けた。
「今日はね、ぼうやたちに素敵なゲームをしてもらおうと思うの」
「ゲーム、だと」
口を挟んだのは、デミーラの一番近くにいた銀髪の男……セフィロスだ。
「そう。優勝できるのはたった一人の、究極のサバイバルレースよ」
「究極のサバイバルか。殺し合いでもするのか?」
「やぁねぇ、違うわよ。だいいち殺し合いなんて美しくないじゃない」
問題はそこかよ。デミーラ以外の全員が心の中で突っ込んだが、それはおいておく。
「要するに、レースよ。ラストステージのゴールに一番早く辿り付いた人が勝ち。
 もちろん、それまでには色々なコースを回って、キーアイテムを捜して、
 次のコースへの扉を開いてもらわないといけないけどね」
「……下らないゲームだな」
「もちろん、優勝者には見返りがあるわよ。願い事を何でも一つ叶えてあげるわ」
「願い事を叶える、だと?」
詰め寄るセフィロス。しかし答えたのは、デミーラではなかった。
「そうじゃよ、お若いの。望むなら、どんなことでも叶えてやろう」
いつのまにか部屋の片隅に立っていた老人が答えた。
彼は名乗りこそしなかったが、名前など聞かずとも、誰もが彼の正体を悟ることができた。
一見みすぼらしいこの老人こそが、大魔王の対極に位置する存在……「神様」なのだと。
「不老不死でも、世界平和でも、世界征服でも、死者の完全な蘇生でも、何なら神の座でも構わんよ。
 ただし、先着一名でお一人様一つに限るがの」

その言葉に、ほとんどの参加者が色めきたった。
目を輝かせる人々を前に、神様は再び言葉を続けた。
「ま、詳しいルールはおいおい話すとして……
 とりあえず、全員アイウエオ順に並んでくれんかの?
 出発用の名簿を忘れてしまったんでのぉ」

全くもって、神の考えることはわからん。
それゆえ神と呼ばれるのやも知れない。
もしかしたら自分たちはもっと違う何かのために動かされているのではないか?
そう思う者もいた。
しかし、目の前に何でも願いをかなえる──世界征服だろうが不老不死、もしくはここで魔王がいなくなる可能性。
はたまた、自分が神になれる──という至高のご馳走を目の前に心を動かされない者はなかった。
かのセフィロスでさえ黙って並んだのを見た彼を知る者は大いに驚かせた。
中には、自分には名前ないと言い出す参加者もいた。
珍しい奴もいるものだと思ったが適当に名づけられたらしい。
命名神マリナンの導きによってとりあえずの名前をつけられたようだ。
さらに驚いたことに中には「神」自身も参加しているらしいとのことだ。
「……」
破壊神シドー。紛れもない神。
ますますパニックになる参加者をよそに神様が口を開く。
「まずは全員に渡さねばならないものがあるな。」
ごくりとそれを待つ参加者。


参加者の顔ぶれは妙だ。皆どこか得体の知れない風貌をしている。
それもそのはず、彼らは本来遭えるはずのない道をくぐって、はるかな遠い時間を超えてきた者や、
全く違う宇宙、空想、次元の彼方から呼び寄せられた者たちだから。
しかし、そんな思いは彼らの意中にはない。
今の彼らは、ただ目の前の餌に群れを成して飛びつく従順な飼い犬のようになってしまっていた。
皆、程度の差はあれ、それぞれの世界、ある一時においては、自分が主役であることを疑わずに自己を貫いた
勇者であったにも関わらず。

「全員行き渡ったかの」

参加者は一人一つのアイテムを渡された。
それは全員同じ皮袋……中身はまるで別物。

「なお、細かいルールについては次のとおり」

使用できない魔法、スタートからゴールまでの道のり、失格者の烙印を押される行為、云々。

「で、出走については」
「俺一番乗り!」
突然、冴えた声が響きわたった。

「ん?」
「ちょっとボウヤ」

神様と魔王を愚弄するいたずら好きの王子様が人々の群れからにょっきり顔を出しスポットライトを浴びて
こう言った。
「俺が優勝して100億年分のお菓子をもらうからな。というわけでおまえらついてくるな、ワルぼう
 ……行くぞ!!」
「まてワル、絶対壊れないへその代わりをもらうんじゃなかったのか!?」
カメハとワルぼうは、いつの間にかあらわれていた旅の扉に飛び込み、そのまま出てこなくなった。
参加者全員、無言、神様ぼう然。

「やれやれ、ああいうのも予想範囲内じゃったかの」
「そうねえ、私のどす黒い欲望を掻き立てるいけない行為、ああいうのは罪よね」
「じゃ失格か?」
「いえ、合格よ、オーーーーホホホホホホホホ!」
「……わからん、お主の考えることはわからん」

「あのー」
談義する神と魔王の背にティーダが恐る恐る伺いをたてる。
「俺たちはどうなるッスか」

神様は振りかえってこう言った。
「もう始まったことになりおった」
「へ?」
オルゴ・デミーラは、翼を展開させ高い声で宣言した。
「バトル・ロワイアル番外編、(さっきから)始まったわよ!!!」

唖然とするティーダをよそに、黒い影が舞い上がった。
セフィロスがティーダの頭上を越え急降下、青と白の入り混じる光の扉へ突入した。

それを見ては他の参加者もたまらない。
我も我もと走り出し、皆旅の扉に殺到するのであった。
「セフィロス、待て!」
「私が先よ、どきなさい」
「イオ……いかん、ここでは失格か!」
「アレクサンドリアの名にかけて……この私が!」
「ひぃぃぃいい、優勝しないと隊長に叱られるぅ〜」
「キマリよくわからない、が、とりあえず行くしかないようだ」
顔色の変わったそれぞれ自分本位な勇者たちが波涛の勢いで突撃し、欲にくらんだ熱い潮のなかに
ティーダをのみ込んだ。

ティーダは肩をぶつけられ踏みつけられボロボロになって、やっとのことで立ち上がったときには
リタイア寸前の有り様だった。
「ちく、しょう、なんだよ、ユウナ、まで…」
「ティーダちゃん、早く行ってね」
オルゴ・デミーラはティーダにベホマを唱えると、彼の背中をつまみあげて扉の中に放り投げた。






























FFDQバトルロワイアル 番外編






























001<dでもねえ名前をつけられた奴の決意>

まずはどっかりと大地に腰を落ち着ける。
これはレース。殺し合いではない。
「落ち着け、俺。落ち着かなければ自分の望みをかなえることはできん。」
まずはキーアイテムの存在。
それは後々発表される。
勝負はキーアイテムが何かということが発表されてからだ。
地図を見る限りここの島はさほど大きな島ではない。
キーアイテムが発表されるまでにやるべきことはいくつかある。全部はできないがいくつかはできるだろう。
1、地形を熟知し、いざというときに迷わないようにする。
2、待ち伏。罠の作成。もちろん、殺さない罠、だ。捕縛が妥当か?…いや、他にもあるはずだ。
3、キーアイテム候補をとりあえず何でもいいからもって行く。
4、無駄な体力消費を避け、一つ所で休む。
ぱっと考えてこれだけ考えた。
1、歩き回って自分なりの最短経路の作成だ。地図も見る間もないときだって確実にある。
2、奪うのはOKであろう。相手を選ぶことにはなろうが。
3、ある程度は1との並行作業もできるだろう。キーアイテムだったらラッキー、そうでなければ有効利用するまで。
4、今は関係ないが、長い戦いになるだろうと容易に想像できる。ならば時にはじっと体を休めることも策、だ。
さて、自分の支給品は…壷?簡単な説明の書いてあるメモも同封されていた。
「盗賊の壷」。「押せ」ば離れたアイテムを強烈な吸引力で吸い込める。ただし、吸い込んだら最後。割るか「吸出しの巻物」でしか取り出せない…とある。
また、壷は吸い込めない…ともある。
このレースにはおあつらえ向き…である。ただし、吸い込んだら最後。まず割らないと取り出せないと考えるべきだ。
壷の容量は…4とあるが4回吸い込めるということか。
腰を上げる。
自分は勝たないといけない。自分のために。
「何で、俺はこんな情けない名前なんだ…?」
名札に「リヴァイアサンに頃された奴」とある。
仮にもあのエクスデスの直属の配下である。腕も自信がある。
しかし、いざ、バッツたちに戦いを挑もうとした矢先にリヴァイアサンが現れ…
後は名札が物語る。
何もせずに殺されたのである。
「それも何だよ「頃」されたって。」
ほんとに命名する気があったのか?命名神マリナンとやらは。
先ほどの部屋でのこらえきれない笑いが聞こえてくるようだ。
適当にそこらの紙で作ったような名札に適当な字で書かれたどう考えても適当な名前。
悲しくて、涙が出る。
「…絶対に、俺の本物の名前を取り戻す!」
腕を掲げて天に誓う。
「リヴァイアサンに頃された奴」は行動を始めた。

ここは島南東の「岬の洞窟」の入り口だ。
ゴールの島東部の「いざないの洞窟」へは島を横断する必要がある。
そして、ここから陸地で行くと等距離くらいに「アリアハン城下町」と「レーベの村」。
そしてここから見える小島に「ナジミの塔」。
まずはどのようにナジミの塔に行くかを知らなければならない。船着場などはある様子もない。
「…人の手が加えられている洞窟だな。もしかしたら塔に通じているのかもしれない。」
まずは洞窟へと身を躍らせた。

【リヴァイアサンに頃された奴 現在位置:岬の洞窟 所持品:盗賊の壷(容量4) 行動方針:洞窟へ移動】





002<ネーミング・センス>

ここはアリアハン王城の東側にある裏庭。
堀と城の間のせまい道を通るか、鍵のかかった扉を開ける必要があるため
滅多に人は来ず、目立つこともないであろう場所である。
その割には花も木々もよく手入れされているのだが。
とにかく、そこに紫のターバンを頭に巻いた男がいた。


彼は初め、自分の名前に疑問を抱いたことは無かった。
初めて出来た女友達…つまりビアンカに名前を告げたとき、彼女はこう言ってくれた。
「わぁ、いい名前ね!」と。
彼の父パパスも、召使いサンチョも、その名をまるで誇りにしているようであった。
パパスはとんぬらと名付けたかったようだが。

自分の名に疑いを持ち始めたのは…アルカパの町に薬を届けに行ったときだった。
池の真ん中でいつも遊んでいた子供達は、彼の名前を聞くと…
「うわ、変な名前!俺なら絶対にそんな名前ヤダよ!」
と、こう言ったのだ。

その時は向こうにはこちらの名前の良さが分からないのだと思っていた。
ビアンカがベビーパンサーに付けるために出した候補の名前…ゲレゲレもギコギコも、
ちょっとユニークだけど、いい名前だなあと考えていた。


しかし、彼は徐々に疑うようになった。本当に自分はまともな名前なんだろうか、と。

妖精のベラに自分の名前を言ったとき、彼女は特に気に留めていなかったようだった。
妖精の村の長、ポワンも、初め、かわいい名前だと言ってくれた。
しかし、別れ際にベラはこう言ったのだ。
「ねえ、長いこと会えないかもしれないし、教えて欲しいの。
 あなたの名前…ニックネームじゃなくて、本名をね。何ていうの?」

彼はこう答えた。
「あれ?最初に言ったでしょ。さっきからずっと呼んでたじゃない。やだなあ、ド忘れしちゃったの?」

そのとき、春風のフルートによって終わりを告げたはずの冬が、再び到来するのを感じた。


ドレイとして連れてこられた大神殿では、自分の名前を聞いて呆然とする者ばかりだった。
「い、いい名前だね」
とは言ってくれたが、おせじにしか聞こえなかった。
彼は理解した。名付けてくれた両親には悪いが…自分は変な名前なんだと。

彼の名はサトチー。現グランバニア国王、サトチーである。


サトチーは世界を放浪し、人並みのセンスを身につけていた。
サラボナではビアンカとの結婚が決まり、幸せのまっただ中にいた。
だが、そこでも…神父が結婚式で名前を呼ぶのを躊躇していた。

そしてグランバニア。
ここでビアンカが子供を産んだ。
双子であるのは予想外だったし、名前もなかなか決められなかったので
彼の叔父にあたるオジロンに名付け親になってもらおうと考えたのだが…

「お子様はグランバニアの正式な後継者。ならばこれをおいて他にありますまい。
 ムスコス、ムスメス。どうです、いい名前でしょう?」

彼は苦笑した。冗談じゃないのか、さすがにそれは無いだろう、と。
しかし、次に耳を疑うような言葉を聞いた。

「おお、素晴らしい。なんと高貴な名前、まさにグランバニア王家にふさわしい!」
「さすがはオジロン殿。センスがいいですな」

大臣、サンチョは真顔でこう答えたのである。


結局、ビアンカがサトチー自身につけてほしいと言ったことで難を逃れることはできた。
(彼女もあの名前を結構気に入っていたようだ)
しかし、もしあそこで彼女が賛成していたらと思うと…恐ろしい。
名を発表したとき、国民や兵士の間に安堵のため息が漏れたのは
はっきりと彼の記憶に残っている。
しかし、ここでまたもや信じられない言葉がオジロンより発せられた。

「いつかお子様が即位した暁にはムスコスと名乗って欲しいものですなぁ」


このゲームで優勝すれば願いをかなえてもらえる。
どうやら命名神マリナンという神がいるようだから(センスは無いが)
自分の名前はなんとかすることもできるだろう。
しかし、王家のネーミングセンスの無さは致命的だ。
このままではマゴスとかヒマゴスとかオバロンいう名を付けられかねない。
外交問題にも発展してくるかもしれない。
王家のため、子孫のためにも優勝せねばならない。


だが子供達を見ていると優勝させたくなるだろうし、
おそらく神の気まぐれで復活したのであろうが、パパス、またサンチョに会えば
自分のしようとしていることへの罪悪感に悩ませられるかもしれない。
だから身内には見つからないように行動することにした。

幼少のころ修得した鍵の技法を使って扉を開くと、
サトチーはこっそりと王城に潜入した。

【サトチー(DQ5主人公) 現在位置:アリアハン王城東側の廊下 所持品:?
 行動方針:身内に見つからないように移動 願い:グランバニア王家のネーミングセンスを一般人並にする】





003<双子は走る>

「ひぇえぇぇっ?!」
奇妙な悲鳴を上げながら、グランバニア王女タバサが地面すれすれの低空を吹っ飛んでいく。
切りそろえた蜂蜜色の髪が風で暴れ、今にも外れて飛んでいきそうなマントやらリボンやらを慌てて押さえて元に戻す。
「お兄ちゃん、ちょっ!とまっ、止まってぇぇぇっ!」
タバサは右手の先、自分の手をがっちりつかんだ自分の双子の兄に向かって叫んだ。
つんつんにとんがった髪の、あどけない顔をした少年がタバサの腕をつかんで疾走している。
家と家の間を全速力で駆け抜けて、カーブするときも全く減速せず、障害物がなければもちろんフルスピードだ。
彼の名はグランバニア王子レックス。現在進行形で引きずり回しているタバサの双子の兄。サトチーの子供達である。

「あははははははっ!はははははっ!」
底抜けに…なんだかちょっと腹が立ってくるほど無邪気に笑いながら、レックスは縦横無尽にレーベの村を駆け回る。
オルゴデミーラのところで腕を捕まれて、旅の扉から出てきてからずっとこの調子。タバサは引きずられっぱなしだった。
「お兄ちゃん!ねぇ!どうするの?これから、ねぇ!」
比較的冷静になったタバサがレックスに問いかける。
頬を林檎みたいに真っ赤にしたレックスは、心底楽しそうに返事を返した。
「凄いよ!ねぇ!レース!レースだよ!すっごくおもしろそうじゃん!」
この状況に興奮しきったレックスを見て、タバサはふぅとため息をついた。

「ぃよぉっし!ぜぇったい勝つぞぉっ!」
タバサを掴んでいない方の腕を突き上げて、レックスが叫ぶ。
ふとある事が気になって、タバサはレックスに訪ねた。やっぱり引きずられたまま。
「ねぇ!お兄ちゃん、願い事なに?優勝したときのお願い!」
半ば悲鳴に近い問いかけ。レックスはハイに笑ったまま、答えた。
「ん〜別に良いよ!レースする方がおもしろそうだしさぁ!タバサにあげる!あはははははっ!」

双子の兄の発言に、タバサは引きずられて姿勢のままあきれかえる。
男の子というのはみんなこうなのだろうか?
何というか、欲がなさすぎだ。そんなにこの状況が楽しいのだろうか?

そんな事を考えながらも、タバサの頭の片隅で、『かなえて欲しい願い』が膨らみ出す。
(ひょっとして…)
全力疾走を続けるレックスと同じくらいに頬を赤くして、タバサは願い事をつぶやいた。
レックスには、聞こえぬように。
「お兄ちゃんと結婚したいって言ったら、できるかな…?」

【レックス(DQ5王子) 現在位置:レーベの村 所持品:? 行動方針:とにかく走る。願い:興味ない。レースに優勝する】

【タバサ(DQ5王女) 現在位置:レーベの村 所持品:? 行動方針:レックスと行く 願い:レックスと結婚する】






004<ある男賢者>

蒼く染まった長い髪が、風で揺れていた。
彼の名はセージ。スペルはSage。思いっきり誤解されそうなその名前を冠しているのが彼である。
そしてその彼が立っているのは、城門近くの整備された道である。

「願い事か…素敵なもんだね。魔王の癖にやってることが凄くファンシーだ」

そう言いながら、セージは走り出した。
一直線に森の入り口へと向かう。

「とりあえず、身体能力のスペックに自信が無いからねぇ…走るしかないよねぇ」

不敵な笑みを浮かべながら、そのまま走っていく。
一つの願いを叶える為に、その足は走りを止めなかった。

「この世界と…どこかにある異世界に存在する全ての呪文を刻み込ませてもらう為にも、さ」



「あれ?」

急に足を止めた。
本当に急に足を止めた。さっきの意思を込めた走りが嘘のように、足を止めた。

「アイテム収集を行うのは良いけどさ……もし他の人がゲットしまくったら…」

僕はとても不利だよねぇ、と彼は考えた。
確かにそうである。武器の扱いに長けているわけでもない彼が、
偶然出会った相手に生身で勝てるはずも無い。
しかも相手が襲ってこない保証も無い。
だからといって森の中で、出会い頭に本能のまま呪文を放つのも愚の骨頂である。
ならばどうすればいいか。セージの頭にはある一つの答えが思い浮かんだ。

「森の中で  う  か  つ  に呪文を使うのは危険。だったら、その危険だという事実を使って…」

そこまで言うと、また不敵な笑みを彼は浮かべた。
そしてまた、同じように走り出す。

そうだ、何も直接で会って戦うことも無い。
氷の壁を作って行く手を阻んだり、焔で火事を起こして混乱に陥れるのも、
彼にとっては造作も無いことなのだ。その事実は、一部を除いても殆どの人は知らない。

どうやら彼はその実力故に、かなりの数の参加者を敵に回してしまいそうだ。

【セージ(DQ3男賢者) 現在位置:森へと繋がる道 所持品:?
 行動方針:森に行き、キーアイテムの入手を図る&呪文で敵の邪魔 願い:この世界(DQ)と異世界(FF)に存在する全ての呪文を習得する】





005<ある男勇者>

彼は走っていた。ごく普通に走っていた。
走ることによって、黒い髪が揺れる。

彼の名はアルス。
今必死に走っているその姿を見るものは誰もいない。褒めるものもいない。
だが、彼は必死に走っている。

「この……ッ!俺を置いてくなんて…思いもしなかった……ッ!くそ……ッ!」

息を切らしながら叫んでいるので、若干カイジ調になってはいるが、そんな事は気にする所ではない。
彼は今必死に入っているところだけ見ていればいいのだ。
だが、やはり彼も人間。疲労にまけ、立ち止まってしまう。

彼は蒼い空を見上げて思った。
ゲームがスタートした瞬間を”ふかくおもいだした”。

自分と共に戦った仲間の一人。彼は賢者だった。
魔王の元へ単身向かい、死んでいたはずの父。彼は勇敢な男だった。

そして、身なりが自分に似ていた少女。
彼女は、とても可愛く、とても美しかった。

彼は、思い出すことをやめた。


「やっぱり…参加者と組むなんてのは無理な話なのかねぇ?」

アルスは思う。
やはり無理な話なのか、一人で延々と(?)こなしていくしかないのか。

「いや、絶対あの3人だけは…あの3人だけは!」

彼の負けず嫌いの血が騒いだ瞬間だった。
そして彼はまた走り出す。

4人で力をあわせるために…。
否、まずは男3人で行動して、スムーズに彼女をパーティに組み込むために。
そして、これもまたスムーズに駒を進めていくために。

「目指せ4人PT!そしてあの女の子!」

勇者ロトは、伝承での人物像よりも不純だったらしい。

【アルス(DQ3男勇者) 現在位置:森へと繋がる道(賢者の通った道) 所持品:?
 行動方針:自らの野望のため、まずはセージを掴まえる。その後女勇者を探す 願い:不明。不純さからすると女関係?】





006<傭兵とトカゲ>

(我ト組マヌカ?)
「はぁ?」
目の前に現れたトカゲの化け物の提案に私は呆れていた。
「あんたの方が強そうだけど?」
それも、圧倒的にだ。
(我ノ体ハ汝ラ儚キ者ノ建造物ノ探索二向カヌ)
頭の中に声が響く。
「それで報酬は?」
生きる為ならどんな事でもして来た、化け物と話すのは初めてだが。
(我ガ汝ノ望ミヲ適エテヤロウ)
「話にならないね、あんたにあの二人以上の力があるの?」
(1対1ナラ負ケハセヌ、故二我ハ奴等二願ウ事適ワヌ。)
「プライドの問題?じゃあ何で参加したのさ?」
(ロトノ血二連ナルモノヲ介シ、奴等ノ干渉ヲ受ケル訳ニハ行カヌ、
 我ノ利二適ウ事ヲ他ノ者ガ望ムナラ、我ガ奴等二頭ヲ垂レタ事ニハナラヌ。)

「それで、何故私なの?」
(オ前ハ面白イ。)
「はぁ?」
(ロトノ血二連ナルモノトハ思エヌ程、オ前ノ心ハ我二近イ。)
「………」
私はアリアハンの孤児院で育った、捨てられた理由は……わからない、
時々双子を忌む風習が残っている家があるからそのせいかもしれない。
(オ前ハ過去ヲ嫌ッテイル。)
バラモスという魔王のせいで、アリアハンどころか世界中が軍備に力を入れていた、
孤児院では常に飢えていた、食える物なら木の皮まで食べていた、だから、生きる為に傭兵になった。
(オ前ハ現在ヲ嫌ッテイル)
「五月蠅い!」
偽勇者はいいよなぁ、顔で仕事が取れるからよ。
昔の仲間の声がする。
別に似たくて似たんじゃない、腕だってそこらの奴には負けない。
(過去ヲ壊シ、現在ヲ壊シ、新タナ未来ヲ創ル事ガ我ガ望ミ。)
「その未来が今より悪かったら?」
(我ハ破壊者ダ、創ル事ハ儚キ者ガヤレバ良イ。)
「無責任だね。」
(ソノ通リ、ナレド過去ト現在二絶望シ破壊ヲ望ム者ガ我ヲ神ト崇メル、
 我ト組ムカ?ロトノ血二連ナルモノヨ。)

「何で私にロトの血が流れてるとわかるの?」
何となく聞いてみる、まだ会った時に如何するかは決まっていないけれど。
(汝ノ剣ハルビスノ加護無キ血筋ノモノニハ扱エヌ、
 汝ハソノ呪文の才ヲ無駄二シテイルガ。)
「そんなもの私にはいらないね」
本当は、習う事が出来なかっただけ。
「OK、それじゃ最初に何処を調べるの?」
(汝二任セヨウ。)
「ならナジミの塔の最上階から、行ける?」
(我二乗ルガ良イ、ロトノ血二連ナルモノヨ、
 ツイデニコレモ渡シテオク、儚キ者ノ道具ハ我二アワヌ)
トカゲの背中によじ登り、クロスボウを受け取り、最後に思いっきりその頭を叩いた。
「私はヒルダ、た だ の 傭 兵、あんたは?」
(グハハハハハ……我ハ“シドー”タダノ神ダ。)
そして二人は舞い上がる……

【ヒルダ(DQ3女勇者) 現在位置:アリアハン南方、岬の洞窟対岸 所持品:ロトの剣、リピーティング・クロスボウ 願い:?】
【シドー 現在位置:同上 所持品:無し 行動方針:ロト一族?の妨害 願い:?】
※女勇者は魔法を使えません、シドーは飛行可能ですが狭い所での移動にハンデがある模様。





007<家政婦は見た!>

アリアハン城王の間。
なんでも願いを叶えてくれると聞いてピピンは色々思っていた。
「やっぱり、こうなったら自分が神になるしかないでしょう!」
ふとそう思って一寸後。
「いや、やっぱり世界中のかわいい子を侍らせて酒池肉林…」
そしてまた一寸。
「いや、それだったら神になったほうが…」
既に主君であるサトチーやレックス達のことなどout of 眼中。
「ここに出場している子もなかなかかわいい子も多い!ああ!なんて幸運なんだ!」
一人で悶えてニヤニヤしている。
「メイド!メイドはいいなぁ。」
よくわからない踊りを踊り始めた。…単に悶えているだけだが。
「あの、奇抜な踊り子もなかなかのグラマー…!」
クネクネ踊りだす。
「凛々しい女性も(・∀・)イイ!」
もはや何かの邪教の儀式にしか見えない。
「よーし、決めたぞー!絶対にぜーったいに優勝してやる!」
いきなり吠え出した。もはやただの奇人である。

「…キモッ。」
家政婦(メイド)は王の寝室から見ていた。
色々と。
チェリは寝室から出るに出れなくなった。

【ピピン 現在位置:アリアハン王の間 所持品:? 行動方針:? 願い:?】
【チェリ 現在位置:アリアハン王の寝室 所持品:? 行動方針:ピピンを避ける 願い:?】





008<将軍>

キン!カキィィン!!
二つの人影が鋭く剣を打ち合っている。
更に数度打ち合ってからお互い間合いを取るべく弾かれたように跳びすさる。
「・・・なかなかやるな」
剣を交えていた男の方が思わず感嘆のつぶやきを漏らす。
男の名はレオ・クリストフ。ガストラ帝国にこの人有りと謳われた猛将である。
レオはレーべの村へと続くアリアハンから北上する道を一人歩いていると、この眼帯をした女剣士に戦いを挑まれた。
最初は相手を殺さない程度に切り抜けるつもりだったが、女剣士の実力もハンパじゃなかった。
本気で打ち倒すつもりで闘わなければこの場を切り抜けれそうにない。
(殺してしまっては失格になってしまうし、それにそれは私の望むところではない。
・・・しかし私は優勝せねばならん。帝国の民のためにも!)

レオの願い事は帝国の皇位に就くことだった。
しかしそれは彼が権力の欲望に取り憑かれたわけでも、出世に目がくらんだわけでもない。
まだレオが帝国兵になったばかりのころ、ガストラ帝国は小さな国だった。
彼が実力を発揮してどんどん階級を上げていくと同時に、帝国は魔導の力を使い国を広げていった。
そして将軍になると同時に、その過程で彼は知ったのだ、
殺戮と暴力で支配するということはどういうことなのか・・・。
恐怖と力で国を治めるということはどういうことなのか・・・。
だからこのゲームが始まった時、彼は決意した。
自らが皇位に就き、帝国を民のための国へと立て直すことを。
もう二度と無意味な圧政やドマ城の悲劇を繰り返しはさせないと。
だから・・・

(・・・こんなところで道を阻まれるわけにはいかない!
道をあけてもらうためにも切り札を使うしかないか)


レオは目の前に草薙の剣を構えると下に半回転させ、頭上に勢いよく振り上げる!
「ショック!!」
彼が編み出した必殺の絶技である。むろん死なない程度に威力を抑えているがこれを喰らえば
いかな強者でもひとたまりもない。

しかしレオは次の瞬間、信じられない光景の目撃する。
相手の女剣士も頭上に剣をかざすとこう叫んだ。
「・・・ならば、ショック!!」
女剣士が放ったショックがレオのショックを相殺し、2人の間に軽いクレーターをつくったのだ。
顔には出さないが唖然とするレオに女剣士が口を開く。

「貴様、なかなかやるじゃないか。名を聞こうか」

どうやら彼女は武人としてレオに興味をもったらしい。しかしそれはレオも一緒だった。

「私はガストラ帝国将軍レオだ」

レオが名乗ると、女剣士は一呼吸置いてから自らを名乗った。

「私の名はアレクサンドリア王国将軍ベアトリクスだ。覚えておくがいい」

【レオ 現在位置:レーベの村へ北上する道 所持品:草薙の剣
 行動方針:この場を切り抜ける 願い:ガストラ帝国の皇位に就き、国を立て直す】
【ベアトリクス 現在位置:レーベの村へ北上する道 所持品:なにかの剣
 行動方針:レオを行動不能にする 願い:?】





009<ウガーーー>

不運以外の何物でも…
該当者は自分以外にもいた。
支給されたものがおしゃれな靴だったから
散歩してみようかな…と思ったのが運のつき。

           ‐=≡ |\_/ ̄ ̄\_/|   ←メモリアリーフ主人
           ‐=≡ \_|  ▼ ▼ |_/ 
           ‐=≡    \  皿 / メイドさんハァハァ ウガーーーー
           ‐=≡_____/ /_
         ‐=≡  / .__   ゛ \   .∩
        ‐=≡  / /  /    /\ \//
       ‐=≡  ⊂_/  /    /  .\_/
         ‐=≡    /    /
          ‐=≡   |  _|__                      ,ィ^i^!1 、
           ‐=≡  \__ \                    ,'{レ'´  ヽ} . ←マリーナ
             ‐=≡ / / /                    ! ノリノ ))〉
``)          ‐=≡  // /                      l| |l;´Д`リ    キモイヨー
`)⌒`)       ‐=≡ / | /                       /つ{卯}つ
 ;;;⌒`)      ‐=≡ / /レ                        く〈_i〉人i〉 
   ;;⌒`)⌒`)‐=≡ (   ̄)                         し'@__)
                                           ↑この辺が幸せの靴

レーベの村に悲鳴が響き渡った。

【メモリアリーフ主人 現在位置:レーベの村 所持品:? 行動方針:メイドをとにかく追いかける(メイドなら誰でもいい) 願い:?】
【マリーナ 現在位置:レーベの村 所持品:幸せの靴 行動方針:逃げる 願い:?】





010<奇妙>

勇者はぶんぶん物体を振り回した。

全国の子ども達に朗報です
ACアダプターは振り回すと武器になります

そう、彼こそ世界で二番目、ACアダプターを武器にすることはできないのか?を素で実行した男だった。
ダーマ神殿で見知らぬ他人を命を捨ててかばったのも、まぎれもなく彼だった。
この二つの現象の落差こそすさまじい。



これは一体なんだろう。
相手の強さが数値化されるアイテム、これでライブラも用なしというわけか。
何を無駄なと言ってやりたい。
敵の強さは、俺自身の強さ。
俺が強くなれば相手も強くなる。
どんなに鍛えても溝の深さは変わらない。こちらの水位が増せば、相手も蛇口をひねってくる。
果てしない青天井路線、そんな世界で生きている俺にとって、敵の強さを逐一把握できるアイテムに
何の意味があるというんだ。
なにしろ、自分が相手より強くなって俺も成長したもんだな、と感慨にふけることもできないんだ。
俺が成長していい気になって、ちょっとこの機械で相手の様子をうかがってみたら、何故貴様そんなに数値が
アップしているんだと落胆してしまうって話だ。
はっきり言って敵の強さなど知りたくないわけだ。

何故こんなものが出てきたんだろう。
少なくとも、俺が望んだから出てきたものではない。
俺がほしいのは、リノアの愛であって、こんなものは、空き地のゴミの山から壊れて溶けかかった戦車の模型を
掘り出して、宝を手に入れたぞーと独りで喜んでいるような子どもにでもくれてやればいいことだ。
俺にとってはただのがらくたにすぎない。
俺だったら、どんな強引な詐欺師が相手でも、こんなものは絶対に掴ませられない自信がある。

ただ、もしかしたらこんなものを欲しがる奇特な奴も少しはいるかもしれない。
例えば目の前にいるわけのわからん男は、そんな人間のような気がする。
はっきり言ってそんな奴とは同じく空気を吸いたくない。
すっきり排除してやりたい。

「……はぁぁぁぁああっ」
スコールは照りつける太陽の下で心眼を見開いた。
「戦闘力たったの5か、ゴミめ……」

【スコール 現在位置:アリアハン南の平原 所持品:スカウター
 行動方針:情報収集 願い:リノアへ送る誕生日プレゼント】
【ダーマ神殿で昇天した勇者 現在位置:同上 所持品:スーパーファミコン用ACアダプター
 行動方針:まずスコールに一撃を 願い:?】




011<読書の道>

彼の名はもょもと。ローレシアの王子である。
彼はアリアハンの優雅な図書館で優雅に本を読んでいる。
その本は、彼に配給された袋の中に入っていたものだった。

彼は読んでいる。
ずっと読んでいる。
かなり読んでいる。
無駄に読んでいる。
その本を読んでいる。

何が彼をそこまで読書の道に突き動かすのか。
因みに、その本の表紙には、「鋼の錬○術師」と書かれていた。

誰か奴を止めてくれ。

【もょもと(ローレシア王子) 現在位置:図書館 所持品:鋼の○金術師7巻まで
 行動方針:そろそろ2巻に突入(理性が読書を止める可能性有り) 願い:?】





012< 覆 面 化 !>

男は悩んでいた。
男の名はオルテガ。その名をアリアハンで知らぬ者はいない。
そしてここは彼の家である。もっとも、彼が帰ってきたのは久々のことであったが。
勇者と呼ばれ、魔王の軍勢とたった一人で戦ってきた男の強さには秘密があった。
彼が今悩んでいるのもそれに由来するものだった。

「まさか、再び「これ」を手にすることになるとはな…。」
彼の手の中にあるのは、支給されたアイテムであり、彼がかつて愛用していた
アイテムでもある。それこそ彼の強さの源であった。
だが綺麗な薔薇にはトゲがある。「それ」にも大きなリスクがあった。

自分は勇者と呼ばれた男だ。「これ」に頼らなくても十分勝負できるはずだっ…!
…だが。「これ」と再び巡り会えたのも何かの縁ではないか?

自問自答の末、オルテガは決意した。「それ」を手ににぎりしめ外に出る。
できればこの姿、息子には見られたくないとの思いを残しつつ、彼は叫んだ。

 マ ス ク ド
「覆 面 化 !」


空に雷鳴が響きわたり、オルテガを激しい雷が包み込む。
あたりが静けさを取り戻したとき、そこに立っていたのは以前の彼ではなかった。

そこに仁王立ちしているのは、鍛え抜かれた鋼の肉体を隠すのは覆面とビキニパンツのみ、マントを風になびかせた荒くれ。

そう、オルテガの支給品とは彼愛用の覆面だった。
かぶることによって、脳内物質がなんたらかんたら以下略で超人的な力を得るという伝説の品である。
副作用によりちょっぴり気分がハイになってしまうのが多少の欠点だが。

「愛と正義の戦士、マスクドオルテガここに見☆参! 今行くぞ、迷える子羊たちよ!」

そして男は風のように走り出す。その先に何があるのかは誰も知らない。

【オルテガ(荒くれモード) 現在位置:アリアハン城下町から外へ 所持品:覆面 行動方針:レースに全力で参加  願い:?】





013<喋る爪楊枝>

「うが?」
これは何なのだろう?
そもそもこんな物を何に使えと言うのだろう?
「うがが?」
武器として使うには軽すぎるし、小さ過ぎるし、切れ味も悪い。
シドー様に相談したいが近くにはいない様だ。
何となく、口の中に入れて上げ下げしてみる、やはりこれは……
「つ……爪楊枝?」
『激しく違うッ!』
そうかッ!
「し…喋る爪楊枝!」
『誰が爪楊枝かッ!』

【アトラス 現在位置:アリアハン西の山岳地帯周辺 所持品:天空の剣 行動方針:? 願い:?】





014<コンドーム50個>

もょもとの背後に忍び寄る影。
当の本人は気づいていない。
その手が振り上げられて──

ぽん。
もょもとの肩が叩かれる。
「あ?ああ。わりぃわりぃ夢中になって気づかなかったよ。」
「すまないがそれを私にも見せてくれないか?」
「いいぜ、一巻は読破したからな。」
魔族の王、ピサロであった。

鋼の錬○術師→錬金術→黄金の腕輪→進化の秘法(秘宝)→究極の生物を作り上げる研究に役立つ?

とピサロの中での結果であった。
進化の秘法(秘宝)に関する分権は数あれど有益なものは少なく
それでいて、すべての文献に目を通していた彼にとっては見逃せないものだった。
…奪い取るという選択肢もあったが、今後のことを考えてもそれは得策ではない。
なぜなら、彼に支給されたものは。

コンドーム(50個)だったからだ。

男二人、静かに本を読み始めた。

【もょもと(ローレシア王子) 現在位置:図書館 所持品:鋼の○金術師 7巻まで
 行動方針:2巻に突入(理性が読書を止める可能性有り) 願い:?】
【ピサロ 現在位置:図書館 所持品:コンドーム(50個)
 行動方針:鋼の○金術師1巻読み始め(理性が読書を止める可能性有り) 願い:?】





015<散歩>

「すごい魔力がこもってるのはわかるんだけど…。」
緑の髪の少女は目の前のビキニを摘み上げてつぶやいた。
彼女の名前はリディア。召喚士とともに黒魔法のエキスパートでもある。
「着て…みようかな。」
レオタードを着慣れていたせいか、普通の女子に比べると抵抗は薄かった。
「どう…かな?」
戦いが終ってから、体付きは更に女らしく成長していた。
目の前のチョコボに話しかけると、クエッと言う返事が聞けた。
このチョコボは召喚獣。力の制御があるのか、バハムートやリヴァイアは呼び出せなかった。
「少し恥ずかしいけど、散歩でもしてコースを覚えようか?」
チョコボはクエッと鳴き、主を背中に乗せた。

【リディア 現在位置:レーベ南東の森林 所持品:魔法のビキニ 行動方針:キーアイテムがわかるまではチョコボに乗って散歩 願い:母の蘇生】







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